監修:東京医科歯科大学 血液内科 臨床教授
医療法人大樹会
ふれあい鎌倉ホスピタル 内科部長 小山 高敏 先生
血が固まるしくみには、体の中にある「凝固因子」と呼ばれる10種類以上のたんぱく質が関わっていて、次々と連鎖的にはたらくことで血が固まります。これらの凝固因子はひとつでも足りなかったり、はたらきが弱かったりすると、血が固まりにくくなります。
後天性血友病とは、体の中にある凝固因子のうち、多くは血液凝固第VIII因子に、自己抗体が発生する病気です。
凝固因子のはたらきは正常ですが、自己抗体が凝固因子のはたらきを阻止するため、血が固まりにくくなります。
*自己抗体は「インヒビター」とも呼ばれます。
後天性血友病を発症する原因はまだ分かっていません。発症した患者さんには、持病のない患者さんも多くいらっしゃいます。その一方で、自己免疫疾患(膠原病など)、悪性腫瘍(がん)などを持病にもつ患者さんも多くいることが分かっています。
筋肉内に痛みを感じたり、強くぶつけた記憶がないのに広範囲にあざができたりします。血が固まりにくいため、ちょっとした衝撃で内出血ができることもあり、重症の出血に進展することもあります。
代表的な出血は皮下出血や筋肉内出血ですが、消化管や血尿、口や歯からの出血もあります。
たいへんまれな病気で、発症するのは50万~100万人に1人くらいと言われています。
これまで血が止まりにくかった経験や、家族に同様の病気になった人がいるわけではなく、突然の出血症状が現れるのが特徴です。
高齢者の方に多く発症する傾向があり、男女で発症率に違いはありません。また、妊娠や分娩を機に発症する場合があります。
※一部を除き、数字、組織名、所属、肩書等の情報は2024年10月時点の情報です。
JP24HRBD00017