監修:国立病院機構大阪医療センター 血友病科・感染症内科 西田 恭治
先生
血友病保因者が妊娠・出産するときには、大量出血に備えるなど、母体と赤ちゃんの安全を担保するさまざまな対応が求められます。産婦人科医と血友病専門医や関連する医療者との連携が大切です。
保因者は、親から血友病の遺伝子を受け継いでいます。将来、男の子を妊娠すると、50%の確率で血友病の赤ちゃんを出産する可能性があります。女の子を妊娠すると、50%の確率で赤ちゃんも保因者になる可能性があります。
これからの人生をともに歩むパートナーと出会ったら、正しい情報に基づいて、ふたりが納得して答えを出せるよう話し合いましょう。きっと、医療者もアドバイスをしてくれるはずです。詳しくはこちらをご覧ください。
保因者の凝固因子活性の程度はさまざまですが、ほとんどの血友病A保因者は妊娠すると一般女性と同じくらいに凝固因子活性が上昇します。しかし、一部の保因者は活性値が低いままのため、自然分娩・帝王切開を問わず、出産後の大量出血に備えておく必要があります。凝固因子活性が低ければ、出産前などに凝固因子製剤の補充が必要な場合もあります。
大切なのは、保因者がその可能性があることを医療機関側にあらかじめ知らせておいた方がよいということです。できれば、血友病の診療ができる病院での出産が望ましいと言えますが、産婦人科医と血友病専門医との連携が取れていれば、その限りではありません。
生まれた男の子は血友病の可能性があります。血友病であれば、出産時に吸引分娩や鉗子分娩を行うと、頭蓋内出血を起こすリスクが高まります。
よって、経腟分娩の場合は吸引・鉗子分娩は避けるべきです。分娩方法の決定は、事前に産科医と血友病専門医が連携しておき、保因者妊婦を交えてそのリスク・ベネフィットを勘案したうえで成されるべきです。
※一部を除き、数字、組織名、所属、肩書等の情報は2024年10月時点の情報です。
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