監修:東京医科大学 臨床検査医学分野 教授 天野 景裕 先生
すべての世代の血友病患者さんに共通する、日々のくらしと旅行で気をつけたいことをご紹介します。
外出時の靴選びも大切です。一口にウォーキングシューズといってもさまざまなデザインがありますが、ファッションや流行で選ばずに、機能性で選ぶようにしましょう。コツは、多少重たい靴でも、かかとのクッションが厚く、底が固くない靴を選ぶことです。
どうしても底が固い靴の場合は、中敷きを厚くするなどの工夫をします。
食事は、日頃から栄養のバランスをとり、規則正しくとる習慣が何より重要です。食生活の欧米化で、肥満や生活習慣病が問題となっています。高脂肪、高カロリーの食べ物を食べすぎれば肥満につながり、体重が骨や関節に余計な負担をかけます。
かと言って、極端なダイエットで体重が急激に落ちたとしても、身体の筋肉や水分が一時的に減少させるのは意味がありません。正しい食事療法と運動療法を組み合わせ、体脂肪を減少させることが大切なのです。
そのためには、適正なエネルギー量の範囲内で、栄養バランスの良い食事をとることです。まずは自分の「適正体重、適正エネルギー量」をチェックしてみましょう。
肥満かどうかは、身長と体重からBMI(Body Mass Index)を求め判定します。
計算式は、
BMI(Body Mass Index)=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22
日本肥満学会が決めた判定基準では、統計的に最も病気にかかりにくいBMI22を標準とし、25以上を肥満と定めています。
エネルギー摂取量は、年齢・性別・身体活動量・肥満度などを考慮して決定しますが、まずは標準体重と活動量から必要なエネルギーを計算して、一日の適正なエネルギー量を知りましょう。
計算式は、
エネルギー摂取量(kcal)=標準体重(kg)×身体活動量(kcal)
活動別・標準体重1kg当りの一日に必要なエネルギーは、
軽労作(デスクワークが主な人)・・・25~30kcal/kg
普通の労作(立ち仕事が多い職業)・・・30~35kcal/kg
重い労作(力仕事が多い職業)・・・35~kcal/kg
旅行や出張の計画を立てるときには、自分の体調や体力とスケジュールを検討し、日程や行程に無理がないかを確かめます。旅行ではつい無理をしがちになるので、そのことを念頭にスケジュールを検討するとよいでしょう。
旅行先が海外の場合、一部の途上国や都市部以外の地域では、出血の処置、特に緊急の対処にとまどう可能性があります。また、地域によっては感染症に罹患するリスクが高いおそれもあります。渡航前にかかりつけの医師に相談し、普段使用している凝固因子製剤を携行する準備をしたり、旅行先でどのような製剤なら入手できるのかを知っておいたりするのもよいでしょう。自分専用の手袋や包帯、縫合糸などの滅菌済み医療用キットを用意しておくのもよいアイデアです。
1)医療用品では | □薬剤の予備 □クーラーボックスと冷却材※
□注射に必要な器具 □市販薬 ※気温の高い地域に行く場合や、寒冷地で溶解用液を凍らせないために必要なことがあります。 |
---|---|
2)海外旅行では | □予防接種(必要な予防接種の確認) □英語または現地語の辞書または用語集 |
3)書類では | □医師や医療機関の手紙 □健康保険証 □処方箋のコピー(お薬手帳) □旅行保険の情報(証書番号など) □薬剤のラベル □輸注記録手帳(病名や受診医療機関、主治医の連絡先を記入しておく) □緊急連絡先一覧の作成(必要事項の記入、携帯電話に電話番号を登録) □目的地で救急受診できる医療機関リスト |
※一部を除き、数字、組織名、所属、肩書等の情報は2024年10月時点の情報です。
JP24HRBD00015