監修:聖マリアンナ医科大学小児科学 名誉教授 瀧 正志 先生
血友病患者さんの関節の保護や機能の維持には、筋力強化が必要です。強くなった筋肉で関節が守られ、関節を出血から守ることにつながります。楽しくエクササイズ(リハビリテーション)をすることでストレスの解消、生活習慣病の予防にもなります。
関節の障害が進むと、関節近くの弱い筋肉はさらに弱く、固い筋肉はさらに固くなります。また、関節内出血を繰り返すと、関節をかばってバランスの悪い姿勢をとりがちになります。そのような状態が続くと、筋肉の萎縮や関節の変形、姿勢の固定化が進むおそれもあります。
十分な関節動作、筋肉の柔軟性、筋肉強度などを回復させるには、適切なエクササイズ、それに適度の運動が必要です。運動についてはこちらをご覧ください。
エクササイズのプログラムを選択する前に、理学療法士に関節の可動域、筋肉の機能を調べてもらいましょう。関節と筋肉の状態を正しく把握してプログラムを組みます。
ある程度の関節症があり、可動域が狭い時に有効なエクササイズをご紹介します。
このエクササイズは膝の周りの筋肉強化にも有効です。
方法
椅子に深く腰掛けて、かかとを椅子の脚に押さえつけるように力を入れます。
かかとを椅子の脚にぶつけないようにしてください。椅子の脚にタオルを巻くなどして、かかとの狭い場所に力がかからないように注意します。
このエクササイズは肘周りの筋肉強化に有効です。
方法
机の下方を持ち上げるように腕に力を入れます。
肘の内側は机のへりにつけ、肘が90度になるように曲げます。
このエクササイズは膝の周りの筋肉強化にも有効です。
方法
ベーシック
大腿部を硬いクッションまたは固く巻いたタオルにのせた状態で横になり、片膝を無理のない程度に曲げます。次に膝を伸ばし、かかとをゆっくりと持ち上げます。
アドバンス
アドバンスストレッチでは手やひもを使って脚を持ち上げ、膝を伸ばす範囲を広げます。
注意点
このエクササイズが有効なケース
ベッドから起き上がることが難しい場合に有効です。ベッドから起きる前にこのストレッチを行ってください。
方法
椅子に座り足の裏を床に平らにつけ、かかとを床につけたまま足の先をゆっくりと持ち上げます。
横になった姿勢、あるいは立った姿勢でも行うことができます。
注意点
このエクササイズが有効なケース
足首の柔軟性がないために歩行距離に制限がある場合に有効です。
このエクササイズの長所は、学校、職場や電車、バス、飛行機の中でもできることです。
長時間座った後で立って歩く前に、足首の関節をほぐすのに有効です。
より長期に関節と筋肉のリハビリテーションを行うためのエクササイズです。
負荷がない状態でこのエクササイズを行う場合は、膝関節のストレッチに有効です。
方法
膝の下にクッションやタオルを巻いたものを入れて仰向けになります。次に、運動する側の膝を伸ばしかかとを上げます。
足首におもりを付けて、さらに負荷を加えることもできます。
注意点
このエクササイズが有効なケース
大腿四頭筋の筋力維持は、けがの危険性を減らし、膝の痛みを和らげるのに有効です。
大腿四頭筋の筋力は、座位から立ち上がるときや、階段を上り下りするときに必要です。
方法
立った状態で、両脚のかかとを上げ、つま先立ちになります。上下にまっすぐ動くことが狙いです。そのために、頭頂部からひもが伸びていて、上に引っ張られているとイメージしましょう。膝をまっすぐにし、ゆっくりと行うよう速さをコントロールします。
注意点
このエクササイズが有効なケース
足首の強化は、歩く、階段を上るなどの多くの機能的な活動に有効です。
足首のバランス能力改善にも有効です。
※一部を除き、数字、組織名、所属、肩書等の情報は2024年10月時点の情報です。
JP24HRBD00018